資料 4.

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「笠沙恵比須館」の展示資料に見る和船・漁具

鹿児島県南さつま市笠沙地区は、薩摩半島の最西南端に突きでた野間半島に位置し、平地の少ない険しい山が連なる海岸地帯である。北東には吹上浜が弓なりに続き、串木野の海岸で終端している。
笠沙と串木野の和船では、船型が少しずつ違う。ほとんど同じ漁場を持ちながら、地域によって異なるのは、船大工の技術・技巧がそれぞれの地域で独自に発展し、技術の交流が無かったのか、リアス海岸あるいは砂州の海岸、風や潮目などの自然環境の違いが船型に反映したのではと推測される。
漁具については良く展示されていて、漁法については串木野とほとんど変わらない。どこの展示館でも同じであるが、帆布の縫い方、縮帆、帆桁への結索、帆走時のロープワークなどの資料に乏しい。「笠沙恵比須館」には薩摩ミヨシ型船など実物大の和船や日向(ヒュウガ)型和船の模型、漁具類が良く展示されている。

(平成15年2月15日撮影)



   



釣り道具





活き海老を入れておく竹筒(串木野地方:えっばん)と竹籠


        
             船内で使う桶類




ヒュウガ型和船(チョロ船)


        
             サツマ型和船
  
  







     

船大工道具と釘


展示資料(2013年1月)

10年ぶりに笠沙恵比須館を訪ねる。建物もリニューアルされ、展示内容も以前より少し変わっていた。笠沙町野間池の森家に伝わる恵比須様2体が期間限定で展示されていた。これらの恵比須様は十二代沈寿官の製作した白薩摩焼である。

(平成25年1月26日撮影)


   





笠沙では牛深(ウシブカ)型和船が多く使われたようである。
牛深型は串木野の薩摩型よりミヨシの幅が狭く、横に傾斜しているように見える。また、帆に下帆桁(ブーム)が無い。

展示記録によると、
「イトヨリの一本釣り、サワラ釣りに最適で、昭和になってから南薩一帯で流行した。笠沙では、片浦、仁王崎で使用され、小型で使い勝手が良かったため、近年まで使用された。
笠沙の船大工は薩摩型よりもこの牛深型を数多く造船したと言われている」

模型製作・所蔵 船大工 吉行 昭(よけ あきら)氏




笠沙恵比須館に展示されている「木花丸」板図(船図)






自船の位置を知るのに現在では海事衛星や近海では、GPSを主に使う。少し前までは電波灯台といわれるロラン局、デッカ局、オメガ局から発信される電波で、船の位置を計測していた。(電波航法)
ロランAは笠沙町野間池に設置されていたが、ロランAチェーンの縮小に伴いより廃止された。

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ページの更新年月日:2003年2月16日