串木野の歌人


萬造寺 齊(まんぞうじ ひとし)

       

1886年(明治19年)7月29日 〜 1957年(昭和32年)7月9日

・串木野町羽島にて生まれる
・旧制川内中学、旧制第七高等学校、東京帝国大学英文科卒業
 与謝野寛の門下生となり石川啄木、高村光太郎、北原白秋などとも交友を深める
・東大卒業後、愛媛県西条中学校などで教鞭をとった
・歌人、小説家、英文学者

歌集・小説:
・颱風(小説集 大正8 年発行)
・蒼波集(歌集 昭和7 年発行)
・山嶽頌(歌集 昭和11 年発行)
・緑の国へ(新聞連載 大正10.10.4 〜大正11.6.9)




   何方へゆくも寂しき吾れなりと

        おもひあきらめ寝ころびにけり




さとばかりすすきをなびけ吹く風に羽島の海の香こそ拡がれ


故さとを入江の岸にのぞみつつ行くなつかしき海ぞひの道


渡り鳥その羽ばたきの音きけばそぞろに恋し故郷の海


若き日の夢が帰るとふと思ふ夕陽に赤く染みて帰る帆


ふるさとにまた帰り来つ高波の寄せてとどろく浜の吾が家に


                   ---- 萬造寺 齊 選集(昭和39年発行 謙光社)  ----







石田 耕三(いしだ こうぞう)

1931年(昭和6年)10月27日〜2002年(平成14年)10月27日

・串木野市島平にて生まれる
・昭和25年3月 県立川内高等学校卒業
・昭和26年1月「創作」に入社
・長谷川銀作(1894−1970 大正-昭和時代の歌人)に師事
・昭和47年6月「創作」を退社
・昭和47年8月「長流」短歌会の創設に参画、以後「長流」編集委員・事務局

歌集:
火立ケ岡   : 長流叢書 第25篇
吹上浜    : 長流叢書 第54篇
照島満潮   : 長流叢書 第68篇
照島満潮以後 : 長流叢書 第76篇

     

     ---- 歌集 火立ヶ岡:直筆句 -----


出郷のわれを見送る母のうしろ火立ヶ岡の樹樹はさやげり


ここに来てふるさとの訛り恥づるなし西郷隆盛の銅像の前


母の指の触れたる鰯を夕べ焼く故郷に向く窓をひらきて


癒えてわが帰る日待つ老いし父が練りたる蒲鉾しみじみ白し


ふるさとへ近づく台風に家守る母が髪を吹かれ釘打つきこゆ


                   ---- 歌集 火立ヶ岡 (昭和55年発行 平原社)----





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ページの更新年月日:2025年10月4日